4月のシャチョー

2018年05月09日| シャチョー| UBISOFTJAPAN

「4月のシャチョー」はインタビュー形式!

皆さんは「Games As a Service」 (通称GAAS)という言葉をご存知ですか?日本語で言うならば「サービスを提供し続けるゲーム」といったところでしょうか。ユービーアイソフトでも最近よく使われるワードのひとつです。今回はシャチョーにこの「Games As a Service」について色々と質問してきました。

 

  1. ユービーアイソフトにとっての「Games As a Service」とはなんでしょうか?

まず、ゲームメーカーというのは他社といろいろな部分で競争をしていますが、それぞれユーザーのゲームプレイ時間でも競っています。これは、言うなれば“時間争奪戦争”です。なので、どのメーカーも自分の会社のゲームを長くプレイしてもらうために継続してゲームを新しくしたり、モードやマップといったコンテンツを増やしていったりします。それがうまくいくと、プレイヤーの皆さんは喜んでくれます。

「Games As a Service」というのは「新しいコンテンツなどを継続して作り続け、皆さんに提供していくこと」を指します。

これは、コンソールのゲームのみならずモバイルゲームなどでも同じことが言えます。新たにゲームを発売して、はい終わり、ということではなくなってきています。『レインボーシックス シージ』のように長く遊んでもらえるゲームは売上にも貢献し、さらにはプレイヤーの皆さんに喜んでもらえるノウハウを増やすことにも役立ちます。それと同時に莫大な費用も必要になってきます。なぜなら、優秀なプログラマやグラフィックアーティストの時間も確保しなければならないからです。

 

  1. なぜ、「Games As a Service」が重要になってきたのでしょうか?

重要になってきたのは確かですが、必ずしもこれから「Games As a Service」が主流になっていく、というわけではないと思います。「Games As a Service」に向いているゲームとそうではないゲームがあります。たとえばマルチプレイヤーのゲームは「Games As a Service」に向いていると思います。逆に、ソロでプレイするゲームは必ずしも「Games As a Service」にすべきとも限りません。逆にそういったゲームはソロプレイヤーが満足するようなゲームコンテンツを提供するのが重要です。どちらにしろ、「Games As a Service」がこれから重要な柱になってくるのは確かだと思います。

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  1. これからのユービーアイソフトのゲームはほとんど「Games As a Service」になっていくと思いますか?

ほとんど、とは言い切れないと思います、もしそうなったらそれはそれで素晴らしいと思いますが、ユービーアイソフトのタイトルのラインナップの中にも「Games As a Service」とは言い切れないゲームがあります。例えば「アサシン クリード」シリーズや「ファークライ」シリーズも長くコンテンツを出していますが、「Games As a Service」ではありません。さらに日本では出していない「Just Dance」や「South Park」のゲームもGAASゲームではないですね。でも、これからも徐々にGAASゲームが増えていってくれたらいいな、とは思います。

 

  1. 「Games As a Service」を提供していく上でのユービーアイソフトの課題はなんだと考えますか?

そうですね。ゲームが「Games As a Service」になればなるほど開発の活力?スタミナ?体力?みたいなものが必要になってきます。どういうことかというと、例えば『アサシン クリード オリジンズ』の開発に何百人もの開発者が必要です。同時に『レインボーシックス シージ』も継続してコンテンツを提供していくためにも何百人もの開発者が必要です。それ以外に新たなGAASタイトルを開発しようとすると、また何百人もの開発者がそのゲームに携わることになります。それには開発チームの活力やバイタリティが必要になるので、これからも開発チームの力が重要になってくると思います。

そして日本のユービーアイソフトの話になりますが、日本オフィスはローカライズやセールスに特化したオフィスです。私たちにとって一番大切なのは日本の皆さんに喜ばれるサービスを提供することです。プレイ時間が増え、プレイ人数が増えていくにつれてカスタマーサポートの需要も増えていきます。プレイヤーのニーズに対応し、さらにはメール、チャット、電話などといったサポートの手段を増やしていくことがこれからの日本のユービーアイソフトの課題だと思います。

 

  1. 「Games As a Service」をサポートするために日本のユービーアイソフトができることはなんでしょうか?

先ほど少し触れていますが、カスタマーサポートのスタッフやサポート手段を増やしていく予定です。ゲームのサーバーやUplayのサーバーは日本にあるわけではありません。なので、サポートスタッフは海外と連携して働くことが重要で、それ以外にもカスタマーサポートをするためにはゲームのことをよく理解することが重要です。さらにカスタマーサポートの需要が最も高くなるのは皆さんが実際にプレイする時間帯である真夜中や休日なのでその時に働いてくれる人が必要です。なかなかそういった方はいませんが、探しています。

 

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  1. これからのゲーム業界はどのようにシフトしていくと思いますか?

これは難しい質問ですね。一か月語っても結論が出ないんじゃないでしょうか。逆に私が答えを知りたいくらいです。

絶対に言えることは、これからも技術が進歩していく、という点です。ちょっと専門的な話になってしまいますが、コンピューターのCPUのパワーが増えたり、コンピューターが可能な演算が増えたり、グラフィックがきれいになっていくことは確かです。これからインターフェースはどんどん変わっていきます。今まで出来なかったことが出来るようになってきます。このように変化していく中で、皆さんはどのようなゲームを求めていくのでしょうか。コンピューターの物理演算が増えたからといって、ゲームが面白くなるとは限りません。例えばレーシングゲームも進化して、本当の車を運転するように感じられます。しかし、家に帰って一番にしたいのは本物の車に乗って運転することなのでしょうか?FPSでも、使える銃がさらに本物に近くなってきています。しかし、物理的なものをリアルに再現できるだけでは良いゲームとは言えません。ゲーム、ストーリー、そしてキャラクターが魅力的でないとプレイヤーの皆さんに満足してもらえません。これからもプレイヤーの心をつかむストーリーを作るノウハウが必要であることは変わらないと思います。

技術が進歩していくにつれ、制限は少しずつ減っていくと思います。今はテレビやパソコンの画面につなげたり、インターネットにつなげてゲームをプレイするのが主流ですが、これも近い将来変わるかもしれません。家でテレビゲームをプレイするのが当たり前だった時代から、そのプレイしていたゲームを外へ持っていける時代へと変わってきました。きっと今考えられない遊び方が皆さんを待っていると思います。ぜひ楽しみにしていてください。

 


最後に、APACファイナルでご健闘された野良連合とSengoku Gamingの皆さん、おつかれさまでした。さらに野良連合の皆さんはアジア代表として今月アメリカで行われるプロリーグファイナルにも出場されます。ぜひ頑張っていただきたいですね。今年から日本でもプロのプレイヤーが認定されました。彼らのようにプロとなって世界に挑戦するプレイヤーが増えていってくれると嬉しいです。これからもユービーアイソフトは日本のプロプレイヤーを応援していきますのでよろしくお願いします。