- 本作のゲーム内容は“鉄道会社の社長となり、ライバル会社との競争に勝ち、鉄道帝国を建設する”というもの。開拓時代のアメリカをどんどん発展させていくのは、偉大な時代の先人の足跡を辿っているようでロマンをかき立てられる。そして本作のゲーム起動時に、ラグタイム調の音楽と共に流れるムービーのインパクトたるや……、それを目にしただけで骨抜きになることだろう。
そして、そんな夢にあふれた世界観をフルに表現するのが美麗なグラフィック。“雄大な緑に包まれた森林”に“乾いた荒野”、“街の喧騒”や“走行中の機関車の造形”など、どの風景も華麗な美しさで心を奪われる。マップによって自然環境も多様に変化し、天候も変化していくため、ゲームをプレイする以前にそれらを眺めているだけでも充分に楽しい。また、運転席からの景色を楽しめるライド・アロング機能まで実装しており、思わずベストなアングルのスクリーンショットを撮影したくなること請け合いだ。
『レイルウェイ エンパイア』は鉄道網作りがメインとなるゲームだが、ひたすらに線路を敷いていけば良いのかと言えばそうではない。忘れてはいけないのは、本作が“鉄道経営シム”だということ。プレイヤーは鉄道会社の社長としての責務を全うしなければならないのである。鉄道を通じて都市と都市を結び、各地の特産品を輸送したり、人の流れを作ったりして地域経済を発展させていくことが重要だ。
ちなみに本作で一番悩ましいのが「機関車同士はすれ違えない」という点。効率よく運送によって利益を得たいと考えながらプレイしていると、いずれ2台以上の機関車を走らせたいと思う瞬間が訪れるだろう。ところが、すべての資源や駅を直線でつなぐのはあまりにも効率が悪く、整備施設の位置や補給塔の場所も最適化しないとコストがかさむばかり。地形も線路を引くときの重大なファクターで、長い橋や長いトンネルを作るには莫大なお金が必要となる。
- にもかかわらず、前述のとおり機関車をすれ違えさせることはできないため、単純に複線化するのか、それとも傍線を作って信号機を設置するのか、短くトンネルを作ってショートカットするのか、迂回ルートを作るのかを考えなければならないのだ。そのようなパズル的な要素が本作の醍醐味と言える。ただ無策に駅をつなぎまくるだけでは、このゲームをクリアするのは難しい。
- プレイを進めると登場したライバル鉄道会社が争うというような要素が増えるなど、メインの鉄道作り(キャンペーン)だけでもとても遊び尽くせない深度を誇っているのだが、それ以外のモードも多く存在する。場所と時代を選んで歯ごたえのある目標をクリアしていくシナリオ、目標に囚われず自由にプレイできるフリーモード、そして、資金無限で自由自在に自分好みの機関車を集めて観察できるモデルモードまで用意されており、その全部を遊び尽くすのには、かなり膨大な時間を要するだろう。
「鉄道……?シミュレーション……?」といった具合に、今まで鉄道ゲームやシミュレーションゲームをプレイしたことがなく、ハードルを高く感じている人でも問題はない。
欧米では既に販売されているが、5月24日に発売される本作はチュートリアルを含めあらゆる要素が丁寧にローカライズされている。文章のみならず音声まで丁寧にフルローカライズされたキャンペーンや、充実したヒントページを読んでいく中でゲームの基本を学ぶことが可能だ。なお初心者の方はキャンペーンモードからプレイし始めれば、ゲーム性を覚えるのに苦労することはないだろう。
初心者には間口が広く、上級者には奥深い『レイルウェイ エンパイア』。2018年5月24日より発売! この本格鉄道経営シミュレーションが気になる方は、是非買ってプレイしてみよう。