6月のシャチョー

2018年06月27日| シャチョー| UBISOFTJAPAN

<今月のシャチョー インタビュー>

シャチョーから見たeスポーツのこれから

 

『レインボーシックス シージ』の人気を受け、ユービーアイソフトの「eスポーツ」への考えも大きく変わったと思いますか?会社として実際に変わったことはありますか?

はい、大きく変わったと思います。『レインボーシックス シージ』の発売後、本社にもeスポーツ部門ができ、この1年間でeスポーツに関わる人の人数も、仕事内容もぐっと増えたと思います。シャチョーもeスポーツには将来性を感じています。日本のオフィスでも、eスポーツを専門的に扱う部署を設けました。全世界的にeスポーツは大きなムーブメントとなってきています。ゲームを作っている会社だけではなく、eスポーツ関連のスポンサーになりたい、という人や企業も増えてきています。これもeスポーツが今成長している証なのではないでしょうか。最近では世界中で大会が行われていますね。ユービーアイソフトの『レインボーシックス シージ』の世界大会にも日本チームも参戦することが多くなってきたので、選手たちを開催国へ連れて行って、無事に連れて帰ってくる、という一連の流れも重要になってきました。これからも、ユービーアイソフトとしては部署や予算の面からもしっかりeスポーツをサポートしていきたいと思っています。

 

『レインボーシックス シージ』では最近eiNsや野良連合など日本のチームも世界大会に出場していますが、これからも日本チームが世界で活躍する機会は増えていくとおもいますか?

はい、これからも確実に増えていくと思います。今年の頭にはプロプレイヤーの認定方法が確立したので、これからもっと日本でもプロチームが増えていくと思います。現時点で日本ではPC版の人口よりもコンソール版の人口のほうがずっと多いです。しかし、世界のeスポーツ大会では現状PCがメインになっています。このプラットフォームの違いから、日本チームが不利になっていることもあります。これから日本と海外チームの差をどう埋めていくのか、日本でもeスポーツではPCメインにシフトしていくべきなのか、はたまた日本での大会はコンソール版がベストなのか、シャチョーは考え中です。でもこのような状況があるにもかかわらず、最近では日本のチームが『レインボーシックス シージ』の世界大会でも活躍しています。これからどのように進化していくのかがとても楽しみです。

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「eスポーツ」タイトルとして楽しめるゲームを作るにはどのような条件が必要ですか?

eスポーツも基本的には普通のスポーツと同じだと思っています。みなさんはスポーツに何を求めますか?ドラマチックな展開やテンポの良さ、逆転ありのドキドキ感。やっている側でも見ている側でも飽きない、自分のプレイを他の人に見せたくなるようなメリハリのあるゲームであることが大切です。それ以外にも、守備や攻撃がシンプルで、様々な戦略が生まれるようなゲームは見ていて面白いと思います。そしてこれはeスポーツのタイトルだけではなく他のゲームにも言えることですがオンラインの安定性は不可欠です。そうでなければ公平にプレイできないし、見ているほうもイライラしてしまいます。例えば本社は『フォーオナー』をeスポーツとして楽しめるタイトルの一つとして発売しました。しかし、発売時にはサーバーが不安定だと感じた方も多く、eスポーツのタイトルとして期待していたほどには成長しませんでした。しかし、最近では専用サーバーも実装され、オンラインの環境も改善してきています。これからもより良いゲームにしていくために、サポートしていく予定なので、ぜひプレイしてみてください。

 

前回のインタビューでGAASゲームについて語られましたが、「eスポーツタイトル = GAASゲーム」であるべきだと思いますか?

必ずしもそうだとは思いません。GAASタイトルでは課金が発生するケースも多いですが、ゲームを楽しむために課金システムがないといけないわけではありません。しかし、ゲーム会社がゲーム周りのサポートをしている以上、その資金が必要です。ゲーム会社にとっては課金システムがしっかりしていないとサポートしづらい、ということは言えると思います。結論から言うと、プレイヤー側から見ては、課金システムのあるGAASゲームである必要はないけれども、ゲーム会社としては資金源となるようにGAASゲームである必要がある、ということかもしれません。

 

2024年にパリで開催されるオリンピックでは「eスポーツ」が正式種目になるかもしれないといわれていますが、フランスの会社であるユービーアイソフトに何かサポートできることはあると思いますか?

特にユービーアイソフトがパリのオリンピックに協力している、という話は聞いていませんが、ユービーアイソフトは世界のゲームのトップメーカーの1つである以上、そこに何らかの形で関わっていたいと思います。もちろんオリンピックの正式種目になるのであれば、それがユービーアイソフトのタイトルでないにしても例えばユービーアイソフトのゲームでゲーマーとしての腕を磨いたチームが活躍、など何からの形で貢献できたらな、と思います。

 

もし将来的にeスポーツがオリンピックの正式種目になった場合、世界のゲーム業界にはどのような影響があると思いますか?

この5年間で、eスポーツはメインストリームになってきました。オリンピックの正式種目になった場合も、さらに人気になると思います。やっぱり誰でもオリンピック選手にあこがれる時期はあると思います。今までのオリンピック種目は手の届かない気がしていた人でも、もしかしたら自分でもeスポーツのオリンピックに出られるかもしれない、と夢を持ってくれたら良いですね。

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日本はゲーム大国にも関わらず、まだゲームだけで生活している選手の方は少ないと思います。日本でも「eスポーツ」が発展していくためにどのような課題がありますか?

先ほどもお話したように、最近正式なプロ認定制度ができたばかりです。逆に、この制度がまだ確立していなかったら日本でのeスポ―ツの発展はさらに遅れていたと思います。この制度ができたことにより、これからどんどんeスポーツは発展していくと思います。この制度ができるまでは、ユービーアイソフトをはじめ、たくさんのゲーム会社が賞金を出すのを控えていました。しかし、それが可能となった今ではゲームだけで生活できるチームが増えてくると思います。

近年では、子供たちの将来の夢のランキング上位にYouTuberがランクインしています。これも、人気なYouTuberが出てきて、子供たちがあこがれる存在になったからです。同じように、eスポーツの世界でも、人気の選手やチームが増えてきてeスポーツ人口が増えれば、どんどんこの世界も発展していくと思っています。

日本でのeスポーツはまだまだ始まったばかりです。これからの数年は特に大切です。ユービーアイソフトにも、eスポーツ業界をメインストリームにしていく責任、義務があると思います。これからもeスポーツをサポートしていきたいと思っています。