『アサシン クリード オリジンズ』~シリーズ史上最大の世界へ~(Part 1)

2017年09月15日| アサシン クリード オリジンズ| UBISOFTJAPAN

By Mikel Reperaz (Ubiblog編集者)

『アサシン クリード オリジンズ』で古代エジプトを再現するというのは都市や周辺の村を作ればいいということではありません。北はアレクサンドリアやナイル川デルタ、南はファイユームまで、プレイヤーがどこでも好きなところを旅できるシームレスな国を作り上げて初めて再現したといえるでしょう。『アサシン クリード オリジンズ」はシリーズ史上最大で、かつダイナミックな冒険がプレイヤーを待ち受けています。

 

アシュラフ・イスマイル(以下アシュラフ):

「古代エジプトを舞台にしよう、と言った瞬間から、国全体を作り上げることを決めていたよ。古代エジプトと一言でいっても、それは私たちにとって様々なことを意味するんだ。都市でもあるし、それと同時に豊かな自然の様々な表情も捉えたかった。そしてプレイヤーはこの世界で何時間もプレイしていく間にどんどん新しいものを発見していくんだ。」

開発チームは始め、『アサシン クリードIV ブラックフラッグ』と同じ位のサイズの世界をつくり始めました。唯一の違いは、オリジンズはほとんど陸地で構成されており、それ以外の場所は秘密や宝が隠されていたり、危険な生物が生息する水中の世界が再現されているということです。この世界ではどこへ行っても、どこかにまだ発見していない場所があるような気持ちにさせられます。

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例えば、メンフィスは広大で、寺院や住居がまるで迷路のように建っています。こういった場所を探索すると、戦いが始まったり宝や新たな武器、秘密の洞窟など様々なものを発見できます。プレイヤーが遭遇する全ての場所、人、そして機会が重要なのです。それらは全て広大なオープンワールドの一部でしかなく、それを囲む広大な農地や砂漠、崖、ピラミッドなどはそれぞれ様々な秘密を隠し持っています。

 

アシュラフ:

「ディテールや様々な体験、ゲーム内で直面すること、NPCや動物たちがこのゲームに凝縮されているんだ。コンテンツという点から見ると、今まで作ってきたゲームの中で一番充実しているよ。驚きに満ちたゲーム体験をしてほしいからね。この世界に何時間も夢中になってほしいから、マップを広大にしたんだ。」

 

古の世界に息を吹き込む

エジプトはゲームの舞台となる紀元前49年ごろも広大かつ国際的で、貿易、農業のハブとして、地中海の周辺に広がっていた古代文明の中でも確固たる地位を築いていました。アレクサンドリアからメンフィスまで、地形的にも文明的にも様々な顔を持つエジプトを1つのオープンワールドの中で国そのものを再現するというのは『アサシン クリード オリジンズ』の中でも最も大きなポイントのひとつです。

 

マクシム・デュラン(以下マクシム)- 歴史学者:

「ゲーム内のマップと実際のマップを比べると、パッと見た瞬間に「これこそ本物のエジプトだ」と思ってもらえるよう工夫しています。ナイルが東にあって砂漠が南と西に、そしてリビア高原がアレクサンドリアの西に位置しているので納得してもらえると思います。

でも、よくよく見てみると実はサイズや距離に手が加えられているのに気付くはずです。

ですが、マップのどこへ行っても自分の場所が分かるようになっています。自分が今どこにいるか分かるように様々な目印になる建物や山を配置しました。ピラミッドや、アレクサンドリアの大灯台を目印にすることももちろん可能です。」

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ゲームの中には、歴史や実在した場所に影響を受け作られた地区があります。全ての地区はそれぞれユニークで違った雰囲気を持っていおり、その場所特有の人々が暮らしています。

エジプトの多様性というのは地理的なものだけではありません。

紀元前49年にはエジプト原住民やギリシャ人の両方が住んでいたので、『アサシン クリード オリジンズ』の舞台の1500年ほど前からギリシャ人はエジプト文化の一部となっていました。紀元前332年にアレクサンドロス3世がエジプトを支配した後、彼の家臣であったプトレマイオスがファラオたちの新しい王朝の創始者として君臨しました。その結果、ギリシャ人は250年以上もの間、エジプトに特権階級として暮らしていたのです。

『アサシン クリード オリジンズ』で作り上げられたファイユームでは、プトレマイオスによる灌漑(かんがい)システムのおかげで人口が急激に増加しました。これにより、ギリシャ人、エジプト人双方の流入現象が起こり、彼らの共存によりギリシャ人の豪邸がエジプト人の寺や彫像に隣接している光景もよく見られるようになりました。

他の場所にもそれぞれ個性があります。例えばファラオたちの集まるメンフィスは、伝統的なエジプトを最も体現している都市とも言えます。ギリシャ人も少なく、古くからの宗教的な慣わしがエジプトの大祭司たちによって守られています。

その一方で、アレクサンドリアはプトレマイオス朝の新たな首都で、エジプトの中のギリシャ人の人口がとくに多い地域です。とはいっても、ここはギリシャの伝統文化の砦とならず、ギリシャとエジプトの文化の融合の中心地となっています。

ゲームの中でこのエリアを作り上げるにあたって、開発チームはエジプト学者たちと話し合い、歴史書だけではなく、映画や漫画などを含め、古代エジプトに関する様々な資料を参考にしました。こういった研究によって、過去に描かれていた舞台としてのエジプト以上のエジプトを作り上げることが出来たのです。

 

マクシム:

「ゲームの中にはたくさんの砂漠が登場しますが、それぞれとてもユニークなのです。現実と繋がるようくまなく勉強しました。リビア高原やカッターラ低地など、こういった場所全てを含めてエジプトは国として存在しているのです。

ゲーム内に出てくる場所の中でのお気に入りは白砂漠です。ユニークな岩や、実在する白砂漠を元に作られているんですよ。近くにある黒い砂漠は少し異質な雰囲気を醸し出しています。そしてみなさんが砂漠という言葉を聞いたときに想像するような砂丘があったり。。。とにかく素晴らしい場所です。砂漠での体験をユニークなものにしたかったので、これらの砂漠には専用のシステムを採用しています。

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その他にも重要なのはバエクの故郷であるシワです。ここもエジプトの歴史の中では重要な役割を担っていますね。エジプトを支配する前にアレクサンドロス3世は何百キロも砂漠を旅してシワにあるアメンの聖地を訪れました。そこで彼は神としてだけではなく、エジプトのファラオとして認められたのです。アレクサンドロス3世がエジプトの伝統に理解を示し、シワへとわざわざ訪れたことからエジプト人にとっても彼と彼の後継者であるエジプトのプトレマイオスによる統治を認めやすくしたことでしょう。」

「シワをGoogle Mapで見てみると、どれだけ遠くにあるかが分かるかと思います。何がすごいのかというと、アレクサンドロス3世とプトレマイオスが辺鄙なところにあるシワへとわざわざ出向き、そしてアレクサンドリアへ帰ってきたということです。周りには何もありませんが、神託神殿の存在もあるのでこの場所をゲームに再現するのは私たちにとって重要なことでした。」

 

アクティビティ満載の国

エジプトの壮大さやディテールを描くことの次に重要だったのは、広大なスペースを興味深いもので埋めることでした。『アサシン クリード オリジンズ』のエジプトはダイナミックで、いつでも狩りをしたり秘密を暴いたり盗賊を倒したり、勿論クエストを遂行したりできます。ゲームのクエストはプレイヤー自身が見つける必要があります。例えば、重要な知り合いが友達の安否を確認したい人へと導いてくれるかもしれません。それ以外にもその友達にたまたま出会って、新たなアドベンチャーへ繋がるかもしれません。さらに、プレイヤーはいつでもクエストを離れることが可能で、他のタスクを終えてからまたクエストを再開することも可能です。

 

マクシム:

「こうすることによって、ストーリーが強化されます。ミッションの機会や、新たなAIとの関係が生まれます。彼らも24時間のサイクルで生活しています。AIがいることでとてもユニークな体験が出来ます。私たちでさえ、何が起こるかわからないときがあります。例えばあるプレイヤーがターゲットを追跡していると、ナイルにいるはずのワニがそのターゲットを食べてしまったかもしれません。その場合は、彼が死んだという証拠を見つければいいのです。でも他のプレイヤーのゲーム中では彼がまだ生きており、彼を尋問したり他の人を尋問してそのターゲットの場所を探さないといけないかもしれません。私たちの新たなクエストシステムを使えば様々なストーリーを作り上げることが可能なのです。そして、そういったストーリーは「アサシン クリード」体験の軸となっているともいえます。

『アサシン クリード オリジンズ』のようなダイナミックな世界でクエストをデザインしていくというのはとても繊細なプロセスです。ゲームの世界を楽しく、そして更に探索したいと思ってもらえるようなバランスをいかにして作るかという部分にも気を配っています。

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アシュラフ:

「例えば、小さな村を襲撃している盗賊がいるとします。そしてプレイヤーがそこへ訪れるとき、それがたとえクエストのためでも、ショップへ立ち寄りたいからでも、小さな村にパズルがあるにしろ、このゲームはプレイヤーがこの村に関わっていけるよう様々な機会を提供しています。そしてプレイヤーがこのゲームの世界に没入できるようデザインしつつ、プレイヤーの自由を尊重し、どのようなことが出来るかというのを明確にしています。」

意識的にサイドアクティビティをスタートすることも可能です。例えば古い遺跡の周りをうろついたら、様々なパズルや罠が眠っている地下牢を見つけて、宝やリワードを手に入れられるかもしれません。その中でも特に際立っているアクティビティは闘技場とヒッポドローム(4つの馬の率いるチャリオットに乗って参加するレース)で、それらは両方ともストーリーモードと融合していますが、リワードがもらえたり、プレイヤーが自らのスキルを試すことが出来ます。

Part 2へ続く

※本記事はUbiblogの英文記事を元に作成しています