テレビや映画は
“見る側”だが、
ゲームは自分が
“主人公”になれる
MEETS VARIOUS ARTISTS vol.4鈴木おさむ・放送作家
SUZUKI OSAMU
練りこまれた世界観とストーリー。まさに秀逸すぎます。
練りこまれた世界観と
ストーリー。
まさに秀逸すぎます。
ー『ファークライ6』のファーストインプレッション
を教えてください。
ゲームはかなり遊んでいるので、『ファークライ』シ
リーズの名前は知っていたのですが、これまでプレイ
する機会はありませんでした。
今回初めて『ファークライ6』に触れてみて、なぜ、
いままでやってこなかったのだろうと、後悔です。練
りこまれた世界観とストーリー。まさに秀逸すぎま
す。
一見、かなり大人なストーリーなのですが、武器や
スプレーモ(バックパック型重火器)のカスタマイズな
ど、ゲームとしてやり込める部分がめちゃくちゃ面白い。
また、武器や装備だけでなくビークルの改造もできま
すし。そこなんですよね。やっぱり大人になっても、
「こうなったらいいな~」と思うようなことが大事で、
そのようなワクワクした要素がぎっしりと詰まって
る。
ーちなみに、鈴木さんにとってゲームのいちばんの魅
力とはどのような部分ですか?
いまの自分にとってはコミュニケーションツールとし
ての役割が大きいです。子どもが現在6歳なのです
が、いっしょにゲームを遊ぶのはもちろん、親子揃っ
てゲーム実況動画を見ることもあります。
また、ゲームの話題は年齢や職業に関係なく、共通言
語としてフラットに話せることも多いですから、若い
20代の人たちとコミュニケーションを取るときにゲ
ームの話をすることも多いです。
まさにいまプレイすべきゲームだと思いますね
まさにいまプレイすべきゲームだと思いますね
ー本作は、祖国を解放するために独裁者に
立ち向かうゲリラ兵の世界を描いていま
す。物語や世界観の印象はいかがでした
か?
現在、コロナ渦で世界中の人々はさまざま
なストレスを抱えています。たとえば、国
に対しての不安や不信感もあると思いま
す。
そういう意味では、まさにいまプレイ
すべきゲームだと思いますね。「この国を
俺が変えてやる!」的な(笑)。
なお、一歩間違えば、とても複雑になりが
ちなストーリー設定ですが、自分がゲリラ
となって政権側に立ち向かって行く、とい
うわかりやすさもあり、すんなり本作の世
界に入り込めてしまいます。しかも、物語
を進めていくうちに集約していく数々のシ
ナリオ。ゲームを進めれば進めるほど、本
作の主人公と自分が重なり、大きく成長し
た気持ちにもなれます。
やはり、中学のころから映画『ランボー』
を見て育ったものとしては、こういう物語
は燃えるんですよね。
ー登場人物である、アントン・カスティロ
大統領、およびその息子のディエゴ・カス
ティロの印象は?
アントンとディエゴ……父と子って言うの
が皮肉ですよね。こういう世界のなかでゲ
リラ側に生まれることの切なさもあります
が、大統領(政権側)の息子に生まれて、こ
の国を治めることを教え込まれる、という
人生の選択肢のなさが、悲しくもありま
す。
ここ数年、とくに海外だとダークヒーロー
ものが流行っていたり、鬱展開な物語にみ
んな引きこまれていくことも多いじゃない
ですか。このゲームは、そのような部分に
もハマってて……すごいなと感じますね。
ー個人的に注目しているキャラクターは?
やはりフアン・コルテスです。もとKGBの
スパイでゲリラの達人という設定も込み
で、日本で実写映画化になったら演じたが
る役者は多そうです。この手の癖があるキ
ャラクターは期待しちゃいますよね。その
ぶん、裏切られた時には、ショックも大き
いですが、でもかっこいいので許してしま
うかもしれません(笑)。
「嘘をついてるかどうか? 敵か味方
か?」……そういう癖のある性格付けは、
シンプルですがとても大事です。
ー『ファークライ6』でとくにユニークだと感じたアイ
デア、およびゲームシステムは?
物語設定もそうですが……主人公の拠点となるゲリ
ラキャンプをアップグレードしたり拡大できるところ
が面白いです。
そしてなんといっても、スプレーモじゃないですか
ね。これはめちゃくちゃユニークですよ。このバック
パック型重火器は、100人以上の味方を率いてるよ
うな威力がありますし。バックパックからホーミン
グミサイルが発射されるってだけで面白いじゃないで
すか。
銃は、我々(日本人)の生活には馴染んでいない。だけ
どバックパックは日常使うものですよね。生活に馴染
んでいるものが武器になるって、めちゃくちゃワクワ
クしません?
ー本作は、独裁者とゲリラの戦いが物語のテーマに
なっています。鈴木さんならばどのような内容で作品
を作り
たいですか?
このゲームにもフォトモードがありますが、戦場カメ
ラマンのゲームは作ってみたいですね。激しい戦いが
行われているところに、写真を撮影するミッション
が来て、命をかけて写真を撮影していくみたいな
(笑)。
テレビ、演芸、映画は“見る側”ですが、
ゲームは自分が“主人公”になれますから!
テレビ、演芸、映画は“見る側”
ですがゲームは自分が“主人公”になれますから!
ー昨今のゲーム制作の流れとして、実在の俳優・役者
が、3DCGになって出演することも多くなってきてい
ます
が、どのように感じていますか?
実在の俳優・役者さんが演じることで、まさに映画
のような作りになりますし、プレイヤーとしても物語
に入りやすくなると思います。自分がゲームのなかに
入り込んだようなワクワク感がより味わえますよね。
テレビ、演芸、映画は”見る側”ですが、ゲームは自分
が”主人公”になれますから!
ー『ファークライ6』には、実際にキューバで生ま
れた”リゾルバー”という考え方がゲームシステムに取
り入れ
られています。これは「何もない状況(ゼロ)か
ら必要なものを自らの手で作り上げる」という精神
で、本作で
は、あり合わせのモノを組み合わせて武
器などを作り出すことができます。”クリエイター”と
して、このような考え方はどのように感じますか?
僕は、『いきなり!黄金伝説。』という番組の構成
を担当していたのですが、そこでは出演者が無人島
で食料を見つけたり、何もない状況から道具を作っ
て成長して行く過程をお届けしていました。
やっぱり、そういう”モノを生み出す”という行為は面
白いですし、そのような部分にフィーチャーしたゲー
ムって意外とありそうでないので、萌えますよね。
ーもしも身の回りのものを使って武器を作るとした
ならば、どのような組み合わせでどのような効果の武器を作
りますか?
身近なモノが武器になることがワクワクします。たと
えば、ペットボトルが強力なブーメランになったり、
ボールペンがドローンカメラになったり、マスクが超
強力なシールドになったり……また、現代人にいち
ばん身近な
スマホをどう使うかですね。スマホが3D
プリンターになって、いろいろなモノを作れたら最
強ですね。
ー『ファークライ6』では、ダックス
フントの”チョリソー”やクロコダイル
の”グアポ”など、
動物とペアを組んで
戦うこともできます。鈴木さんが、仕
事および人生で戦ううえでの”相棒
(ア
ミーゴ)”とは?
パソコンです。とにかくいろいなモノをこれで書いてます。僕の頭のなかのアイデアを、こいつが具現化してくれていまして、本当に大切なパートナーです。
大きな作品を書き上げた時には、「ゆっくり休んでくれ」と言いたくなりますね。
ー『ファークライ6』のどのような部
分を、どのような人たちに楽しんでも
らいたいですか?
僕らのような年代になってくると、ゲ
ームをプレイする人がどうしても減っ
てきてしまいます。でも、映画が好き
な人は大勢います。
「映画はすごく好きだけど、しばらく
ゲームはやってないわ!」という人に
ぜひ遊んでほし
い。映画ではなかなか
体験できない興奮を味わえるはずで
す!
本文・編集:ローリング内沢/村田征二朗
映画ではなかなか体験できない
興奮を味わえるはずです!
映画ではなかなか体験できない
興奮を味わえるはずです!