Assassin's Creed 3 Lady Liberty アサシン クリードIII レディ リバティ
イギリスがアメリカ東海岸に進出したように、欧州列強はこぞって北米大陸を植民地化していった。イギリスと同様に積極的だったのはフランスである。ミシシッピ川流域を中心に、現在のカナダからメキシコ湾に到るアメリカ中西部を領有した。この広大な地域は、仏王ルイ14世にちなみ、「ルイジアナ」と命名された。そして1718年には、メキシコ湾に通じる港湾都市としてニューオリンズが建設された。その4年後、ニューオリンズは仏領ルイジアナの首府となる。この地には多くのフランス人が入植した。そのため同じアメリカであっても、イギリス文化の流入した東海岸とは異なった、ヨーロッパ・スタイルの建築物が建ち並ぶ。
18世紀に入ると、ヨーロッパでは七年戦争(1756〜1763)が起き、イギリスとフランスは対立した。それに連動し、北米大陸ではイギリスとフランスが植民地の領土をめぐって争うようになる。
フレンチインディアン戦争(1755〜1763)である。ジョージ・ワシントンも指揮をとったこの戦争でフランスは敗北。カナダ、フロリダ、そしてルイジアナの一部(ミシシッピ川以東)はイギリスに割譲された。また、ミシシッピ川以西の地域は、同盟国スペインに割譲することになり、フランスは北米大陸から撤退することを余儀なくされたのである。
『レディ リバティ』は、ルイジアナ(ニューオリンズ)がスペインに割譲された直後の時代である。物語冒頭、テンプル騎士団はニューオリンズ買収を企んでおり、そしてニューオリンズのスペイン人総督はテンプル騎士団に協力的だ。主人公アヴリーンは、テンプル騎士団に反抗することになっていく。植民地をめぐるイギリスとフランスの争いでは、両陣営とも先住民インディアンの各部族を懐柔して先兵とした。戦争の名称は、イギリス視点で「フランス人とインディアンとの戦争(French and Indian War)」となるが、イギリス陣営もインディアンを抱き込んでいる。1760年にモントリオールが陥落し、フランスは降伏した。
支配権がスペインに移ったルイジアナは、史実では1801年に秘密裏にフランスに返却。そして1803年、欧州戦線に集中したいフランスは、ニューオリンズだけでなく、広大なルイジアナ全域の買収を持ちかける。かくしてアメリカはルイジアナを手に入れるのであった。
のちのアメリカ初代大統領。バージニア市民軍の大佐時代(1754年)に、オハイオ渓谷でフランス軍と争う。敗北して降伏するが、ここでの小競り合いと、翌年のイギリス艦隊によるフランス艦隊拿捕が契機となって、フレンチインディアン戦争へと発展していく。『アサシンクリードIII』では、主人公コナーとともに独立戦争を戦う。
天然痘とは感染症の一種である。強い感染力を持ち、「不治の病」とも呼ばれた。天然痘ウイルスは、もともと北米大陸には存在しなかったが、ヨーロッパから白人が植民してくると、あっという間に広まった。抵抗力を持たないインディアンは次々と天然痘に倒れ、なかには全滅した部族さえあった。天然痘によるインディアン弱体化が、欧州のアメリカ征服に拍車をかけたのだ。フレンチインディアン戦争の頃には、イギリス軍は天然痘患者の使用した毛布をインディアンに贈るという、生物兵器のような使い方もしていたほどである。